- 半導体産業向けNOx除害・排ガス処理
半導体業界向けNOx(窒素酸化物)排出削減ソリューション
半導体製造向け高効率NOx排出削減ソリューション
酸性雨や大気汚染の原因となるNOx(窒素酸化物:NO₂、NO)は、人の健康や環境に深刻な影響を及ぼします。燃焼工程で発生する有害なNOxを効率的に処理することは、多くの産業分野に共通する重要な課題です。
DAS Environmental Expertsは、設計から導入・運用までを一括して提供するNOx処理ソリューションを、半導体業界をはじめとする幅広い産業向けに開発しました。
窒素酸化物(NOx)とは?環境や健康への影響
窒素酸化物(NOx)は、石油、天然ガス、石炭、木材などの燃料が燃焼する際に発生するガス状化合物の総称です。主に、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO₂)で構成されています。
一酸化窒素(NO)は無色の気体で、人体内では情報伝達物質として重要な役割を果たしています。血管を拡張する作用があることから、循環器医療や心臓外科、新生児の肺高血圧症の治療などにも活用されています。一方で、NOは大気中で容易に酸化され、二酸化窒素(NO₂)へと変化します。
二酸化窒素(NO₂)は赤褐色で刺激臭を伴う有害なガスです。200℃を超える温度では一酸化窒素と酸素に分解されますが、水と反応して酸を生成するため、酸性雨の原因の一つとなります。また、NOとNO₂はいずれも光化学スモッグの発生に関与する大気汚染物質として知られています。
NOxは人や動物の健康にも深刻な影響を及ぼします。特に二酸化窒素(NO₂)は、目や呼吸器の粘膜を刺激・損傷し、肺機能の低下を引き起こすおそれがあります。さらに、高濃度のNOxを吸入すると、呼吸困難や肺水腫などの重篤な健康被害につながる可能性があります。
このような環境・健康リスクへの対応として、産業分野や半導体製造工程では、NOx排出量の削減と適切な排ガス処理がますます重要になっています。

なぜNOx削減の重要性が高まっているのか
大気汚染のうち、少なからぬ割合が交通機関によって引き起こされており、その割合は総排出量の約37%を占めています。また、約30%を占める固定発生源としては、主に発電所、廃棄物焼却施設、ガラス・セメント製造設備、石油精製所などがあります。
窒素酸化物(NOx)は、燃焼プロセスだけでなく、硝酸を使用する工程においても発生する可能性があります。さらに、農業分野におけるNOx排出源としての重要性も高まっており、全排出量の約10%を占めています。
こうした背景から、世界各国ではすでに窒素酸化物に対する厳しい排出規制が導入されています。各国の政府や規制当局は、これらの大気汚染物質の排出をさらに抑制するための取り組みを進めています。ドイツのTA-Luftや米国環境保護庁(EPA)による規制など、各国の環境法規制ではNOx排出量に厳格な基準が定められています。
そのため、前述の大規模なNOx排出事業者だけでなく、半導体産業をはじめとするハイテク産業においても、窒素酸化物の発生防止、排出削減、あるいは効率的な処理を実現するための効果的なソリューションが求められています。
NOxはどのように生成されるのか?
NOxは主に、さまざまな燃焼プロセスにおいて窒素が酸化されることで生成されます。NOxの生成メカニズムは、大きく3種類に分類されます。
サーマルNOx(Thermal NOx) は、燃焼用空気中の窒素と酸素が比較的高温(1,300℃以上)で反応することにより生成されます。
フューエルNOx(Fuel NOx) は、燃料中に化学的に結合している窒素が、800℃以上の温度で反応することにより生成されます。これらの複雑な化学反応は、運転条件や反応環境によって大きく左右されます。
また、火炎前面に存在する燃料ラジカル(CHx)の影響により、窒素が窒素酸化物へ変換されることがあり、これを プロンプトNOx(Prompt NOx) と呼びます。
通常の燃焼プロセスで発生するNOxの約95%は、一酸化窒素(NO)です。二酸化窒素(NO₂)は主に燃焼後に、大気中の酸素との反応によって生成されます。
一方で、プロセス制御が適切でない場合には、亜酸化窒素(N₂O)が生成されることもあります。N₂Oは一般に「笑気ガス」として知られ、医療分野では麻酔剤、食品業界では噴射剤として利用されています。
しかし、亜酸化窒素は温室効果ガスとしても知られており、CO₂の約298倍の温暖化影響を持つとされています。そのため、NOxの排出削減だけでなく、N₂Oの発生抑制も環境保護の観点から重要な課題となっています。

半導体産業におけるNOx対策
半導体産業は、エネルギー消費、水使用量、廃棄物発生量の観点から、世界でも特に資源集約型の産業の一つであり、環境への影響も大きい産業として知られています。
クリーンルーム内でのシリコンウェーハの加工では、窒素ガスが保護ガスやパージガスとして広く使用されています。窒素は通常の条件下では非常に不活性なガスですが、高温環境下ではサーマルNOx(熱的窒素酸化物)を生成する可能性があります。
これは特に、エッチング工程後に発生するパーフルオロカーボン(PFC)を除去するために使用されるポイント・オブ・ユース(POU)燃焼式除害装置において重要な課題となります。PFCを分解するために反応器内で必要とされる高温条件が、副次的にNOxの生成を促進するためです。
また、半導体製造では窒化膜の形成などの工程においても窒素化合物が必要とされます。例えば、化学気相成長法(CVD)では、酸窒化膜(オキシナイトライド膜)の形成に亜酸化窒素(N₂O)が使用されます。
さらに、三フッ化窒素(NF₃)は、マイクロエレクトロニクス製造だけでなく、薄膜ディスプレイや薄膜太陽電池の製造においても、CVDチャンバーの洗浄に使用されています。また、結晶シリコン太陽電池の製造ではアンモニア(NH₃)も利用されています。
これらの窒素含有化合物の未反応残渣は、通常、他のプロセスガスとともに熱分解処理されます。そのため、これらの処理工程が、フューエルNOx(燃料由来窒素酸化物)の生成メカニズムによるNOx排出源の一つであると考えられています。
NOx二次処理のための革新的なソリューション
TSUGA:選択触媒還元法(SCR)によるNOx・粒子状物質処理システム
TSUGAは、選択触媒還元法(SCR:Selective Catalytic Reduction)と高性能な粒子フィルターを組み合わせたNOx処理システムです。最大4,000 ppmのNOx濃度に対応し、最大5,000 slmの排ガス中に含まれる微粒子や粉じんを効率的に除去します。
二次排ガス処理向けのベイ型ソリューションとして設計されており、複数の上流除害装置(アベートメントシステム)から排出される排ガスをまとめて処理することが可能です。
処理プロセスの第一段階では、99%以上の粒子状物質を除去します。これにより、下流機器を保護するとともに、触媒の高い活性を長期間維持することができます。続いてSCRプロセスにおいて、還元剤としてアンモニアを用い、窒素酸化物(NOx)を窒素と水へと変換します。TSUGAは、95%以上のNOx削減率を実現します。
また、還元剤の精密な供給制御と、プロセス熱の75%以上を再利用する熱回収システムにより、優れた運転効率を実現しています。
さらに、統合されたオンライン測定システムにより、NOx排出量を常時監視し、運転データおよび排出データの継続的な記録・管理をサポートします。これにより、環境規制への対応や排出量管理の効率化に貢献します。
ALCEA:省スペース型プラズマ支援触媒システム
ALCEA(Advanced Catalytic Oxidation) により、DAS Environmental ExpertsはNOx二次処理ソリューションのポートフォリオをさらに拡充しています。ALCEAは、プラズマ湿式除害装置や燃焼湿式除害装置など、NOxを発生させる排ガス処理システムの後段に設置することを目的として開発された、プラズマ支援型触媒システムです。
ALCEAは、非熱プラズマ技術と触媒技術を組み合わせたシステムです。プラズマによって生成される活性酸素種(ROS: Reactive Oxygen Species)が触媒反応を促進し、NOxを水に溶けやすい窒素化合物へと変換します。これらの化合物は、その後、下流側に設置された中央湿式スクラバーによって効率的に除去することができます。
NOx濃度や前段の処理設備にもよりますが、ALCEAは最大5,000 slmの排ガス流量に対応し、最大95%のNOx削減率を実現します。また、消費電力は最大3.2kWに抑えられており、専用ガス供給設備やアンモニアなどの還元剤を必要としません。
さらに、触媒ユニットは既存の排気ダクトシステムへ直接組み込むことが可能であり、サブファブ内にほとんど追加の設置スペースを必要としません。コンパクトかつモジュール化された設計により、既存の排気インフラへの後付け(レトロフィット)にも適しています。
ニーズに合わせた最適なNOx処理技術
DAS Environmental Expertsでは、TSUGAによるSCR(選択触媒還元法)ベースのNOx・粒子状物質処理と、ALCEAによるプラズマ支援型 Advanced Catalytic Oxidation(高度触媒酸化)技術という、二つの異なる二次排ガス処理ソリューションを提供しています。
最適な技術の選定は、排ガス組成、ガス流量、粒子状物質の負荷、既存設備の構成、さらにはサブファブ内の設置スペースなど、さまざまな要因によって異なります。
そのため、DASはお客様ごとの運転条件や設備要件に応じて、最適なDeNOxソリューションをご提案し、効率的かつ持続可能な排ガス処理の実現をサポートします。

TSUGA

